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矢印不貞行為に対する慰謝料に関する主な判例
不貞行為(いわゆる、不倫や浮気)は、民法で規定する離婚原因のひとつに数えられていますが、不法な行為を行った相手(浮気をした配偶者や浮気相手)には、精神的苦痛(こころの痛み)を理由に、損害賠償という形で金銭の支払いを請求することもできます。

※補足:配偶者が浮気(不倫)をしたからといって、必ずしも慰謝料が取れるとは限りません(たとえば、夫婦関係が既に破綻しきっていた…など)。また、浮気相手に対しても、不法行為に当たらないと判断(たとえば、相手が既婚者であるということを信じて疑わなかった…など)され、慰謝料が認められなかった判例はあります。

この損害賠償のことを、一般に〝慰謝料〟と呼んでいますが、不貞行為に対する慰謝料には、養育費算定表のような目安となる資料はない(下記資料は、慰謝料のみを対象としたデータではない)ため、金額に関する基準や相場というものがいまひとつはっきりしません。

※補足:家庭裁判所は財産分与と慰謝料を合算した統計資料【下記:表】を公表していましたが、平成11年度以降、慰謝料に関するデータは公表していません。
支払額別・婚姻期間別の財産分与と慰謝料【平成10年】
婚姻期間 総額 支払額 支払平均額
(万円)
30万円
以下
50万円
以下
100万円
以下
200万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,000万円
以上
決まらない
総数 12,037 775 874 1,772 2,241 2,552 1,244 900 1,174 500 380.2
6月未満 150 24 19 41 38 22 4 1 1 --- 138.6
6月以上 332 44 45 86 88 47 14 2 1 5 141.6
1年以上 909 122 129 179 234 169 42 13 10 11 169.9
2年以上 1,037 104 118 236 271 213 58 20 6 11 177.9
3年以上 935 69 96 171 239 226 67 27 22 16 228.0
4年以上 817 79 76 158 166 121 60 25 18 14 229.5
5年以上 676 39 54 138 147 164 63 30 23 18 265.0
6年以上 586 31 73 89 145 127 62 26 22 11 269.1
7年以上 449 23 34 78 77 116 56 36 17 12 311.7
8年以上 459 23 16 64 82 136 62 29 28 19 352.5
9年以上 454 34 36 59 81 108 48 40 32 16 353.7
10年以上 438 16 24 44 68 108 67 38 45 28 435.4
11年以上 326 21 16 52 59 70 33 29 32 14 392.3
12年以上 323 23 20 28 59 71 38 29 35 20 422.8
13年以上 307 9 9 44 49 84 37 28 34 13 436.2
14年以上 277 8 15 28 34 62 41 31 42 16 516.6
15年以上 256 13 9 23 39 55 33 31 32 21 484.8
16年以上 243 10 13 8 48 37 33 30 39 15 523.3
17年以上 231 11 7 23 32 41 24 39 35 19 542.3
18年以上 210 7 5 18 23 44 33 24 44 12 606.1
19年以上 192 5 9 21 23 43 25 24 30 12 528.1
20年以上 1,049 27 21 79 121 184 166 156 220 75 634.8
25年以上 1,376 33 28 95 118 204 178 192 406 122 749.0
そのため、相手が払う・払わないは別として、いくらでも請求することは可能ですが、相手の年収をはるかに超えるような金額を求めてしまうと、まとまる話もまとまらず、最終的には法廷で争うことになるため、できれば泥沼化する前に示談に持ち込みたいものです(理由:判例を振り返ってみても、裁判によって得られる慰謝料は、示談に比べて低くなる傾向が高い!)。

慰謝料を得ることが目的なら、一時の感情に流されることなく、常識の範囲内での金額を請求したいところですが、ではいったいいくら請求するのが妥当なのか・・・!?

そこで、不貞行為による慰謝料について争われた判例を、いくつかピックアップしておくので、同じようなケースに当てはまる方は、少し参考にしてみてください。




不貞行為による慰謝料が争点となった判例

横浜地方裁判所(平成3.9.25)
請求額:300万円矢印認められた慰謝料:なし
不倫相手は、交際当初、夫が既婚者であることを知らなかったが、妻子がいることを認識した後も不倫関係を続けたケース。妻に不倫関係が発覚したことで、一度は関係を解消したものの、再び不倫関係が始まったため、別居後、夫婦関係は破綻し、裁判上の和解により協議離婚が成立したことなどを考慮し、慰謝料の請求額は妥当と認められたが、妻は夫から500万円の慰謝料を受け取っていることから、不倫相手に対する請求は認められないとした。

東京地方裁判所(平成4.12.10)
請求額:500万円矢印認められた慰謝料:50万円
夫の職場の部下であった不倫相手の女性(不倫関係は約8ヵ月ほど)に妻が慰謝料を請求したケース。不倫関係は夫が主導的役割を果たしていたこと、婚姻関係の破綻危機が必ずしも不倫関係のみではないこと、不倫関係解消後は夫婦関係が修復していること、また、不倫相手の女性が職場を退職しているなどの社会的制裁をうけていることなどから、慰謝料は減額された。

東京地方裁判所(平成10.5.29)
請求額:1,000万円矢印認められた慰謝料:150万円
2人の子供がいる夫婦で、スナックのアルバイトを始めた妻(最終的に子供を連れて不倫相手と同棲)と不倫関係にあった男性に慰謝料を請求したケース。男性は妻が既婚者であることを知りながら不倫関係を続け、夫婦関係を破綻させるキッカケを作ったとして慰謝料を認めたが減額された。

東京高等裁判所(平成10.12.21)
請求額:2,000万円矢印認められた慰謝料:200万円
婚姻期間が約40年ほどの夫婦で、約30年間不倫を続けていた夫の不倫相手(職場の同僚:夫の再婚相手と称して実家に入り、同棲を続けた)に離婚した妻が慰謝料を請求したケース。

大阪地方裁判所(平成11.3.31)
請求額:1,200万円矢印認められた慰謝料:300万円
夫が赴任した先の小学校で、20年以上不倫関係にあった女性に対し、妻が慰謝料を請求したケース。最終的に婚姻関係が破綻し、夫婦は別居に至ったが、不倫関係が始まるにあたって、夫と不倫相手のいずれが主導的であったか明らかでないことなどを考慮し、妻の精神的苦痛に対する慰謝料は認めたものの、請求額は減額された。

東京地方裁判所(平成14.7.19)
請求額:4,100万円矢印認められた慰謝料:1,300万円(うち、配偶者(夫)に対する慰謝料は1,000万円)
結婚生活約10年目の夫が妻に隠れて不倫を始め、数年後、不倫相手と海外に駆け落ちし、帰国後、不倫相手と同棲しながら家業(自営業)を続けた特殊なケース。婚姻生活が20年以上続いていること、帰国後、妻の住所地の近くで不倫相手と同棲生活を続けただけでなく、本来、夫婦で営むべき自営業にもかかわらず、不倫関係にある女性との同棲場所から、妻の住所地に通うような行為は屈辱以外の何ものでもないとして、不倫相手に300万円、夫に1,000万円という高額な慰謝料を認めた。

東京地方裁判所(平成15.2.14)
請求額:-----矢印認められた慰謝料:440万円
夫の会社の同僚と不倫関係にあった女性に対し、妻が慰謝料を請求したケース。妻に不倫関係が発覚し、一度は謝罪の手紙を送るなどの示談交渉が成立(慰謝料:200万円 / 違反した場合の違約金:100万円)したが、当初から交際中止の意思はなく、示談成立後も不倫関係が続いていたことを考慮し、慰謝料(合意に基づく慰謝料の残額:140万円 / 違約金:100万円 / 合意後の不貞に対する慰謝料:200万円)が認められた。

東京地方裁判所(平成21.1.26)
請求額:1,000万円矢印認められた慰謝料:500万円
妻と妻の母親の主治医(男性)が不倫関係になり、不倫相手の子を妊娠・出産したケース。夫婦は協議離婚したこと、慰謝料を請求した夫は自分の子であると疑わずに育ててきたこと、DNA鑑定の結果、不倫相手の子であると判明した後も、不倫相手が父親であることを否認し続けたことなどを考慮し、慰謝料は高額となった。
さらに、参考までに東京地方裁判所で争われた、平成24年度の不貞行為に関する主な判例をいくつか拾ってみました。

その表がこちらになりますが、ご覧のように、法廷で争われた場合の慰謝料の金額は、請求額よりを大幅に低くなっていることがよく分かっていただけるのではないでしょうか。
参考:不貞行為の慰謝料に関する判例【東京地裁】
判決日 請求者(原告) 不法行為者(被告) 請求額 認められた慰謝料
平成24.1.17 600万円 300万円
平成24.1.23 不倫相手(女性) 330万円 150万円
平成24.1.24 元妻 不倫相手(女性) 500万円 350万円
平成24.2.3 不倫相手(女性) 1,000万円 100万円
平成24.2.7 不倫相手(女性) 500万円 100万円
平成24.2.9 不倫相手(女性) 3,000万円 100万円
平成24.3.13 不倫相手(女性) 1,000万円 500万円
平成24.3.19 妻と不倫相手(男性) 300万円 200万円
平成24.3.21 不倫相手(男性) 500万円 250万円
平成24.3.22 妻と不倫相手(男性) 1,000万円 150万円
平成24.3.26 不倫相手(女性) 500万円 200万円
平成24.4.10 不倫相手(男性) 400万円 100万円
平成24.4.13 不倫相手(男性) 500万円 250万円
平成24.4.19 不倫相手(女性) 500万円 150万円
平成24.4.27 不倫相手(女性) 220万円 110万円
平成24.5.29 不倫相手(女性) 550万円 220万円
平成24.6.4 不倫相手(女性) 1,000万円 100万円
平成24.6.6 不倫相手(男性) 500万円 200万円
平成24.6.11 不倫相手(男性) 500万円 150万円
平成24.7.3 不倫相手(女性) 300万円 300万円
平成24.7.18 550万円 100万円
平成24.7.19 450万円 200万円
平成24.8.21 不倫相手(男性) 500万円 150万円
平成24.9.13 不倫相手(男性) 700万円 200万円
平成24.9.26 500万円 200万円
平成24.10.3 不倫相手(女性) 1,100万円 220万円
平成24.10.31 不倫相手(男性) 500万円 150万円
平成24.11.26 不倫相手(女性) 330万円 120万円
平成24.12.10 不倫相手(男性) 500万円 100万円
平成24.12.13 不倫相手(女性) 600万円 150万円
平成24.12.21 不倫相手(女性) 500万円 120万円
なお、不貞行為を原因とした慰謝料の金額は、夫婦が離婚したかしないかでも大きく分かれるようで、一般には離婚に至った場合の方が高くなる傾向がみられます(精神的苦痛という形のないものを金銭に見積もるのは非常に難しく、被害者の精神的苦痛の程度、年齢や収入、婚姻期間、子供の有無や不貞行為に至るまでの夫婦関係などを総合的に加味してお互いに歩み寄ることになります)。
不貞行為が原因で離婚した場合 矢印100万~400万円ほど?
夫婦が離婚しなかった場合 矢印20万~200万円ほど?
また、近年は、以前よりも慰謝料が高額化していると言う弁護士もいるようですが、通常、裁判では不貞行為の回数(期間)が少なければ少ない(短ければ短い)ほど、慰謝料の金額は低くなります。