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公正証書とは…?

離婚公正証書の話に入る前に、まずは公正証書とは何かついてお話ししましょう。

公正証書とは公正証書とは、公証役場にて当事者から契約や遺言等の内容を聞き、それを基に公証人(元裁判官や元検察官、法務局長などが執務を取ります)の手によって作成される書類のことです。

公証役場は全国各地に点在(約300箇所程)しますが、公証人立会いの下、作成される公正証書は、裁判所の判決と同じ実行力・拘束力をもつため、重要な契約書や遺言書の作成などに、よく利用されることがあります。

ただし、この公正証書は金銭の支払を目的とする契約には強い(直ちに強制執行をかけられる)効力を発揮するものの、金銭の支払を目的としない約束事には即効性がありません。

具体的には、賃貸借契約書を公正証書で作成したようなケースです。

この場合、家主は裁判所の判決を取らずに、即、公正証書に基づいて明け渡しを求める請求ができるわけではないので注意が必要です。

よって、一般的に公正証書は「金銭の支払を目的とする債務」に関する契約書に利用される書類であるといえるかもしれません。

※ 「金銭の支払を目的としない債務」を公正証書にする意味が全くないわけではありません。公正証書は、法律に長じている公証人が作成した公文書であり、信頼性が高く、後に裁判となった場合には、非常に高い証拠能力を発揮します。また契約内容に対する自分の強い意思を相手に示すという点でも効果があります。

公正証書を作成するのは公証役場にいる公証人であり、離婚を望んでいるあなたが、高度な専門的知識を身につける必要はないので、ここでは離婚公正証書のポイントだけ押えておきましょう。

公正証書を作成する意義は、主に以下の3点にあります。
証拠としての効力 元裁判官(検察官)であったり、法務局長であったりと、法律に詳しいその道のプロが作成する書類なので、公序良俗に反するような内容であったり、無能力によって取消すことのできる法律行為についての約束事は書面にはしない。したがって、高い信頼性があるとともに、証拠能力が高いため後に裁判となった場合に有利に働くケースも多々ある。
債務名義としての効力 裁判所の判決と同様の実行力・拘束力をもつ公正証書に「約束が実行されない場合には、直ちに強制執行を受けるものとする」といった一文を加えることによって、裁判所の判決を得ずに直ちに強制執行がかけられる。※ ただし、非金銭債権に関する内容は不可。
心理的圧力としての効力 証拠力として高い公正証書をわざわざ作成することによって、相手(債務者)に心理的プレッシャーを与え、債務の履行を促すことができる。



離婚条件を公正証書にするメリット

離婚トラブル日本においては、離婚の約9割が協議離婚によるものです。

つまり、公的機関(家庭裁判所など)に頼らず、夫婦の話し合いによって別れるケースが大多数を占めるわけですが、財産分与をはじめ、慰謝料、子供がいれば親権・養育費などなど…

様々な問題についてしっかりと話し合い、お互いに納得のいく形で話をまとめておかなければ、後々、トラブルにもなりかねません。

たとえば、子供の養育費として、毎月3万円、指定した銀行に振り込んでもらう約束をしていたのにもかかわらず、相手側から一向に振り込まれる様子がない…といったケースも少なからず見受けられます。

極端な話、協議離婚は離婚届を提出し市区町村役場に受理されるだけで離婚が成立してしまうため、特にこれといったルールがあるわけではありません。

離婚に際して、様々な約束事(財産分与、慰謝料…など)を決めたはいいが、後々、言った言わないの水掛け論にならないよう、しっかりと文書にして書類を作成(協議離婚書)することが賢い別れ方といえますが、先ほどの養育費の件で考えてみると、相手が約束を果たさない場合、約束したとおりの金額の養育費を支払うよう催促し、それでも相手が応じない場合には、作成した協議離婚書を証拠として、裁判を起こし、かつ、「○○は金3万円を支払え!」といった判決を得て、はじめて強制執行にかけることができます。

ところが、この書面を公正証書で作成しておくと、裁判所の判決と同様の実行力・拘束力をもつため、判決を得ずに直ちに強制執行に掛けることができます。

つまり、催促や裁判にかかる余計な手間暇を省くことが出来るというわけです。

そこに離婚公正証書を作成する大きなメリットがあります。

このように、単に夫婦間で作成した書類では、相手が約束を履行しない場合のことを考えると、手間暇がかかり、やや頼りないものになってしまうので、協議離婚の際には、離婚条件を公正証書に残すことも、検討してみる価値は十分にあるのではないでしょうか。

※ ただし、非金銭債権に関する内容は不可!

では、ここで離婚公正証書を作成する主なメリットについて挙げておきます。

公正証書には、金銭債権以外の事項について執行力がないという一定の制約はありますが、離婚の際には、非金銭債権の合意内容(子供の面接交渉権など)も併せて記載しておくとよいでしょう。
チェック 公正証書の原本は公証人が保管するため、当事者が書類を紛失しても、再交付してもらえるため安心!
チェック 約束した金銭の支払を怠った場合には、公正証書に基づき、直ちに強制執行にかけることができる!



離婚条件を公正証書で作成するには…?

協議離婚は特にルールがあるわけではないので、口約束でも構いませんが、離婚後に「こんなはずじゃなかった・・・」と後悔しないよう、離婚条件を明確に取り決め、証拠として書面に残しておくことが大切です。

特に分割払いによる金銭払いの離婚条件を約束した場合には、しばらくすると相手側から支払われなくなる可能性も十分考えられます。

法律のプロが作成する離婚公正証書は、高い証拠能力を備えているため、無用なトラブルを避ける意味でも作成する価値がありますが、公正証書を作成するにはどのような手続きが必要なのかわかならい…といった方も多いことでしょう。

そこで、離婚条件を公正証書で作成する際に欠かせない主なポイントについてまとめておくので、離婚公正証書の作成に関心のある方は、少し参考にしてみてください。
公正証書作成の基礎知識
チェック 「○○地域にお住まいの方は、○○公証役場にて作成しなければならない」といった管轄はないため、全国各地にある、どの公証役場で作成しても構わない。
チェック 本人が出頭することが出来ないな場合は、代理人に手続きを委任することもできる。
※ 公正証書作成代理人は、弁護士に限らず誰がなってもOK!
チェック 公正証書作成費用は、記載された離婚給付金の額によって変動する。
公正証書作成に必要なもの
チェック 公正証書を作成してもらうためにあらかじめ作成しておいたメモなど
※ あくまで書類作成をスムーズに進めるためのものであって、公証人には口頭で伝えても問題なく、必ずメモが必要というわけでありません。
チェック 戸籍謄本
チェック 印鑑証明(運転免許証・パスポート等でも可)
チェック 実印
チェック 公証人手数料
代理人に公正証書の作成を委任する場合
チェック 委任状
※ 詳細な離婚条件と、万一に備えての強制執行認諾文言(約束を破った場合には強制執行されても構わないといった内容の文言)が記載されていることが肝心です。また、委任状には当事者の実印を押し、その印を証明する印鑑証明を持参します。
チェック 代理人の実印・印鑑証明
公正証書作成手数料
離婚公正証書を作成するとなると、公証人に対し手数料を支払うことになりますが、金額的には安価です。

また、離婚公正証書を作成する場合、目的となる価格がはっきりしている場合には、その金額、合意がない場合には算定不能として手数料を算定します(算定不能の場合は11,000円)。

公正証書作成手数料については、政府が定めた公証人手数料令により、法律行為の目的価格に従って、次のように決められているので、下記表を参考にしてください。
目的となる価格 手数料
~100万円まで 5,000円
~200万円まで 7,000円
~500万円まで 11,000円
~1,000万円まで 17,000円
~3,000万円まで 23,000円
~5,000万円まで 29,000円
~1億円まで 43,000円
~3億円まで 43,000円に5,000万円ごとに13,000円加算
~10億円まで 95,000円に5,000万円ごとに11,000円加算
~10億円超 249,000円に5,000万円ごとに8,000円加算
ちなみに、財産分与や慰謝料については合算した金額で手数料を算出しますが、養育費に関しては、別個、手数料を算定します。
具体例

・財産分与 …… 500万円
・慰謝料 ……… 150万円
・養育費 ……… 2万円/月(15年間)

① 500万円 + 150万円 = 650万円 ----------→ 17,000円
② 2万円 × 12か月 × 10年※ = 240万円 -----→ 11,000円

※ 支払期間が15年であっても、公正証書では最大10年まで

■ 公証人の手数料
  17,000円 + 11,000円 = 27,000円(実際にはこの金額に印紙代等が加算)