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一問一答:慰謝料&財産分与編

慰謝料・財産分与Q&A(3)entrance

Q5:年老いた両親を残して家は出れないと夫に言われたため、彼の両親と同居することになりましたが、義理の母(姑)とうまくいっていません。私のいないところで、ありもしない陰口を近隣の住人にしていたり、妻である私を差しおき夫の身の回りの世話をすべてやってしまいます。夫にも相談しましたが「我慢しろ」の一言で片付けられ、まったく取り合ってくれません。最近は、家にいるのも苦痛なので、場合によっては離婚も考えていますが、離婚の際には姑に対して慰謝料を請求できますか?

姑に対し、慰謝料を請求することは可能です。

ただし、たとえ姑嫁の対立が離婚の引き金になっていたとしても、姑から慰謝料を取れるかというと、現実には難しいと言わざるを得ないようです。

結婚も離婚も当事者の自由意思によりするものであるからして、姑嫁の不仲をはじめ、親族との不和を理由に、当事者以外の第三者に損害賠償(慰謝料)請求できると認められるためには、それ相応の理由が必要とされます。

参考までに、姑や舅の慰謝料に関連する判例を2つほど挙げてみましょう。

義父母の嫁に対する小言をはじめ、姑が嫁の日記を盗み読んだことから両親との不和が悪化し、一層冷淡になったのは、夫の非協力的な態度にあり、両親と妻との不和は、世間ではよくあることとして、両親には損害賠償(慰謝料)責任はないとしたケース

【昭和43.1.29 名古屋地裁岡崎支部】


義父と夫に、「お前は怠け者である」とか「家風に合わない」と嫁いびりをされ、婚家にいづらくなった妻が、夫と義父を相手に慰謝料請求の訴えを起こしたケースでは、嫁の追い出しに義父が主導的役割を演じ、社会通念上許容されるべき限度を超えた不当な干渉をしたという理由により連帯責任を認めた。

【昭和38.2.1 最高裁】

このように、離婚の原因を作った姑(舅)に対し、慰謝料が請求できる場合というのは、姑(舅)が夫婦関係に干渉し、積極的に離婚に至らしめたと言えるような客観的な事実が必要であるとしています。

また、東京地裁の判決【昭和38.5.27】において、「第三者に婚姻破綻の原因があるとするためには、当事者双方になお婚姻継続の意思があり、その努力をなしてるにもかかわらず客観的にみて婚姻の継続しえないような事態を惹起せしめたことを要する」とも言っているように、夫婦関係をぶち壊すような積極的な関与が欠かせないとしていることから、姑に対する慰謝料請求は、一般的には難しい訴えであると言えるでしょう。

ただし、姑に対する慰謝料請求は難しくても、夫が姑嫁の不和を知っていながら修復に努めることなく放置していたり、姑の肩をもって嫁いびりをするようなことがあれば、夫に対する慰謝料請求は認められやすくなるかもしれません。

これらの点を踏まえると、姑に対する慰謝料請求は、一般的には非常に難しいというのが現実です。


Q6:離婚によって発生する慰謝料と財産分与の違いについて教えてください。

民法には、次のような規定があります。

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

【民法 第768条1項】

離婚に伴い発生する財産分与とは、次に挙げる3つの性格を含んだ性質のものであり、不法行為等によって配偶者の権利を侵害したことで生じるとされる精神的苦痛に対する損害賠償(慰謝料)請求権とは、やや異なる権利であると言うことができます。

つまり、相手方配偶者に対して慰謝料を請求できるような正当な理由がなくとも、婚姻期間中に、夫婦で築き上げた財産があれば、財産分与は請求できるのです。

よって、有責配偶者(不倫等によって離婚原因を作った張本人)として慰謝料の支払義務があっても、財産分与は相手方配偶者に対して請求することは可能です。

清算的
財産分与
夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げてきた共同財産を分配
扶養的
財産分与
離婚後における相手方配偶者の生計維持を図ることが目的
慰謝料的
財産分与
離婚によって生じるとされる精神的苦痛に対する慰謝料

また、直接収入のない専業主婦にとっては、「働いていない自分には婚姻期間中に築き上げた財産はひとつもない…」と思いがちですが、そうではありません。

家事を一切放棄し、遊びほうけていたのなら話は別ですが、夫が外で稼いでいる間、家事を切り盛りしていれば、財産に対する妻の貢献度が認められるため、折半とまではいかないまでも、一般的に、3〜4割程度の財産分与請求権が認められるのが現状のようです。

※ 共働き夫婦の場合、夫と妻は対等であるとして、共同財産は折半するのが妥当であるとされています。
消滅時効イメージ
ちなみに、裁判所は慰謝料の要素を含めて財産分与がなされた場合には、重ねて慰謝料を請求することはできないとしながらも、精神的苦痛の埋め合わせをするには額が足りない、あるいは、分与方法が妥当ではないと認めた場合には、不法行為を理由に慰謝料を別個に請求できるとしています。

また、慰謝料と財産分与は消滅時効にかかりますが、慰謝料の消滅時効は3年【民法724条】、財産分与の消滅時効は2年【民法768条2項】と、両者に違いがあるので注意が必要です。